
「AIを仕事に使った方がいいらしい」
そう聞く機会は、この数年で一気に増えました。
ChatGPTをはじめ、文章を書いたり、画像を作ったり、データを分析したりできるAIも次々と登場しています。
でも、小さな会社や飲食店を経営している人からすると、
「で、うちの会社では何に使えるの?」
というのが一番知りたいところではないでしょうか。
僕自身、漁師をしながら飲食店を経営し、魚の加工品を作ったり、ECで商品を販売したり、Webサイトを運営したりしています。
大企業のように、経理担当、マーケティング担当、商品開発担当、Web担当……と、それぞれ専門の人がいるわけではありません。
小さな会社では、社長が何役もやります。
僕も同じです。
商品を考えて、原価を計算して、販売方法を考えて、ホームページを触って、資料を作って、スタッフの仕組みを考える。
その中にAIを入れてみると、
「AIって、小さな会社ほど使った方がいいんじゃないか?」
と思うようになりました。
今回は、僕自身が経営の現場で実際にAIを使ってきた経験をもとに、小さな会社で使いやすいAI活用方法を10個紹介します。
難しいAIの話ではありません。
「明日から自分の会社でも使えそう」というものを中心に紹介します。

1.文章を作る
一番簡単に始められるのが文章作成です。
小さな会社を経営していると、意外なほど文章を書く機会があります。
- お客様への案内
- Instagramの投稿
- 商品説明
- ホームページ
- スタッフへの連絡
- 取引先へのメール
- 求人募集
- チラシの文章
これまでなら、短い文章ひとつでも、「なんて書こうかな……」と考えているうちに20分、30分経ってしまうことがありました。
AIなら、「誰に伝えるのか」「何を伝えたいのか」「どんな雰囲気にしたいのか」を伝えるだけでも、かなり良い下書きを作ってくれます。
ただし、僕はAIが作った文章をそのまま使うというより、最初のたたき台を作ってもらうという使い方をしています。
0から文章を考えるのと、70点の文章を直すのでは、仕事のスピードがまったく違います。
2.新商品を一緒に考える
これは僕自身、かなり使っています。
飲食店や食品関係の仕事では、「この魚を商品にできないかな?」という場面があります。
以前なら、自分の経験の中から考えることが中心でした。
AIを使えば、「この食材なら、どんな商品が考えられる?」「冷凍販売するなら?」「通販向けなら?」「ふるさと納税向けなら?」と、条件を変えながらアイデアを大量に出せます。
もちろん、AIが考えたから売れるわけではありません。
味、原価、保存方法、製造方法、食品表示、需要などは人間が確認する必要があります。
それでも、自分一人では思いつかなかった方向を出してくれる壁打ち相手としては非常に便利です。
僕の場合も、魚の加工品や冷凍商品を考えるときにAIと何度もやり取りしています。
「商品を作って」ではなく、「一緒に商品開発会議をする」くらいの感覚で使うのがちょうどいいと思います。
3.原価や利益を計算する
小さな会社ほど、ここは重要です。
売上が100万円増えても、利益がほとんど残らなければ意味がありません。
飲食店なら、食材原価、包材、人件費、家賃、水道光熱費などがあります。
通販ならさらに、送料、箱、真空袋、販売サイトの手数料などもあります。
ところが、新商品を考えていると、「これ、1個売ったら結局いくら残るんだ?」となることがあります。
こういう計算もAIと相性がいい。
たとえば、販売価格1,500円、材料費400円、容器120円、販売手数料10%といった条件を入力して、「1個売ったときの粗利益を計算して」と頼む。
さらに、「月100個なら?」「300個なら?」「材料費が10%上がったら?」とシミュレーションできます。
ただし、計算結果は必ず確認します。
AIは便利ですが、数字を間違える可能性があるからです。
AIに計算させる。最後は人間が確認する。
これが基本です。
4.事業計画を作る
僕自身、設備投資や新しい事業を考えるときに、「この事業、本当に成立するのか?」をAIとかなり細かく検討します。
たとえば加工場を作るなら、設備はいくら必要か。毎月いくつ商品を作れるか。いくらで販売するか。原材料はいくらか。人件費はいくらか。借入金を毎月返済しても利益が残るのか。
こうした条件を一つずつ整理していきます。
AIに「事業計画書を作って」と丸投げするのではありません。
僕が数字を出して、AIと一緒に、「この計画、本当におかしくない?」と何度も検証していく。
この使い方が重要だと思っています。
特に一人で経営判断をすることが多い小規模事業者にとって、いつでも壁打ちできる相手がいることには大きな価値があります。
5.商品の名前やキャッチコピーを考える
商品名やキャッチコピーも、AIが得意な分野です。
ただ、「商品名を考えて」だけでは、あまり良いものが出てこないことがあります。
僕なら、「島根県沖で獲れた魚を使っている」「通販で販売する」「30〜60代が中心」「少し高級感を出したい」「漁師が作っていることを伝えたい」といった情報を入れます。
さらに、「高級路線で10案」「親しみやすい方向で10案」「贈答品を意識して10案」と方向を変えて出してもらいます。
AIの良さは、1案を考えることではありません。
短時間で大量の選択肢を出せることです。
その中から「これだ」と思うものを人間が選び、磨いていきます。
6.チラシやパッケージを考える
文章だけでなく、デザインを考えるときにもAIを使えます。
僕も商品のパッケージやチラシ、Webサイトなどを作るときにAIを使います。
面白いのは、「デザインを作って」だけではなく、「売場担当者の視点で問題点を指摘して」「初めて商品を見るお客様の立場で見て」「マーケティング担当者として改善して」という使い方です。
自分で作っていると、どうしても作り手目線になります。
そこでAIに違う立場を与えて、いろいろな角度から自分の商品を見てもらう。
これは商品開発でもかなり使えます。

7.ホームページを改善する
小さな会社では、「ホームページ専門の担当者なんていない」という会社も多いと思います。
僕もWordPressを使っていますが、AIを使いながら改善することがあります。
たとえば、「スマートフォンだとここが見づらい」「問い合わせまでの導線を改善したい」「このページだけデザインを変えたい」「こういう機能を追加したい」と相談する。
以前なら専門業者に相談していたような小さな修正を、自分でできる場面が増えてきました。
もちろん、セキュリティや決済など、専門家に任せるべき部分もあります。
重要なのは、全部自分でやることではなく、外注する仕事と自分でできる仕事の境界線が変わってきたということだと思います。
8.社内の仕組みを作る
AIは、お客様向けの仕事だけではありません。
社内業務にも使えます。
たとえば僕なら、スタッフの日報、作業内容、作業時間、人事評価、面談、マニュアル、チェックリスト。こうした仕組みを作るときにもAIと相談します。
小さな会社では、「仕組みを作った方がいいのは分かっている。でも作る時間がない」ということが多い。
だから口頭説明が増えて、社長しか分からない仕事が増えていく。
AIを使って、「まず簡単なマニュアルを作る」ところから始めるだけでも違います。
AI導入というと大げさに聞こえますが、頭の中にしかなかった仕事を文章にする。
これも立派なAI活用です。
9.経営判断の壁打ち相手にする
個人的には、これが一番価値を感じている使い方かもしれません。
経営者は決めることが多いです。
「値上げする?」「この商品を作る?」「設備を買う?」「借入する?」「人を雇う?」「この事業を続ける?」
最終的に決めるのは自分です。
でも、AIに、「メリットとデメリットを整理して」「この計画の弱点を指摘して」「反対する立場から考えて」「数字がおかしくないか確認して」と聞くことができます。
ここで重要なのは、AIに経営判断を任せないこと。
AIは社長ではありません。
責任も取ってくれません。
だから、AI=答えを決める人ではなく、AI=考える材料を増やしてくれる相手として使っています。
10.「これAIでできない?」と毎回考える
最後は具体的な機能ではありません。
でも、僕はこれが一番重要だと思っています。
仕事をしていて、「面倒だな」「また同じことやってるな」「時間かかるな」と思ったら、「これ、AIでできない?」と一度考える。
文章を書く。メールを作る。数字をまとめる。商品を考える。資料を作る。画像を考える。Webサイトを修正する。社内の仕組みを作る。
全部をAIに任せる必要はありません。
10分でも20分でも仕事が減れば、それを1年間積み重ねるとかなりの時間になります。
小さな会社では、一人の時間の価値が大きい。
だから僕は、AIの一番大きな価値は、人を減らすことではなく「少ない人数でもできることを増やすこと」だと考えています。

小さな会社こそAIを使った方がいい
僕はAIの専門家として会社を始めたわけではありません。
漁師をして、飲食店を経営して、商品を作って、販売している中でAIを使い始めました。
だから最初から、「AIで会社を変革しよう」なんて考えていたわけではありません。
単純に、「この仕事、もっと楽にできないかな?」から始まっています。
そして一つ使えるようになると、「これにも使えるんじゃないか?」という仕事がどんどん見つかりました。
大企業なら、それぞれの仕事に専門担当者がいるかもしれません。
でも小さな会社では、一人が何役も担当します。
だからこそAIは、小さな会社と相性がいい。
ただし、AIを導入すること自体を目的にしてはいけません。
大事なのは、AIを使うことではなく、会社の仕事を少しでも良くすること。
売上が増える。利益が増える。仕事が早く終わる。ミスが減る。スタッフが働きやすくなる。社長が考える時間を作れる。
そのためにAIが役立つなら使えばいい。
役立たないなら無理に使う必要はありません。
僕自身もまだ試行錯誤の途中です。
これからも自分の会社を実験台にしながら、「小さな会社で実際にAIを使ったらどうなったのか」を、このブログで紹介していこうと思います。
成功したことだけではなく、うまくいかなかったことも含めて。
同じように小さな会社を経営している人が、「それなら自分の会社でもできそうだ」と思えるような情報を残していきます。