つい最近、以下のような新聞記事がありました。
島根県の漁師は毎年減り続けております。
この減少を食い止めようと、行政は漁師になる人へ給付金などの制度を作っております。
しかし、この制度。
見た目はよく見えます。だって月に10万円も生活補助が5年間ももらえるんですよ?!
なんてことはありません。もらえません。
実際にこの制度を利用して漁師となった私が経験したこの3年間。
甘い誘い文句で「島根で漁師になろう!」なんて絶対に思わないで欲しい!そんな思いから書く記事です。
制度の欠陥点
そもそもこの制度は、底びき網漁業と定置網漁を営んでる会社への雇用斡旋みたいなものです。
自営漁業者用の支援も書かれていますが、まず師匠は自分で探してください、となります。
島根県では、独立した漁師(沿岸自営漁業者)を目指す方を重点的に応援しています
応援って何ですか?
と実際に県の担当者に何度も聞きました。
融資で金利を県が負担します
なんて的はずれな答えしか返ってきません。
島根県にはブランド魚がありません。
(大田に大田の大あなご、とありますが、50cm以上は全てそう呼ぶだけで、大あなごのタグを付けて市場に出荷とか、大あなごだから値段が他とは違う、なんてなし!)
借金して設備を整えて魚をた~くさん獲ってきてください!
そんな時代に逆行したことを進めているのが島根県なのです。
漁業資源保護なんて言葉は島根県にはないのです。
認定新規漁業者を目指そう
■県では、意欲的に漁業経営に取り組み、地域の担い手になる沿岸自営漁業者を認定新規漁業者として認定しています。■沿岸自営漁業者の皆さんと県や市町村とが一緒になって、島根の沿岸漁業や漁村を盛り上げていくため、認定新規漁業者の皆さんに様々な支援制度を用意しています。
認定基準は「年間720万円以上の水揚げ計画」であり、それが達成できると見込めるために、前年の実績で500万円程度は必要。
これを満たして認定を受けることができません。
実際、私も県の担当者と、私の研修をしてくれた親分漁師と面談をしましたが、実績実績と口にするだけで認定はできない、とのことでした。
ちなみに、この制度の支援を見込んで漁師として研修を受けたものの認定されず漁師を止めた人たちは何人もいます。
県の支援=借金の手伝い
です。この制度を使う理由がありません。
閉鎖的な県民性
港はスカスカ。
船でびっしり、なんて港はない。
いくつかの港で地元住民の方へ「ここに住もうと思ってます。住んだら船は置けますか?」と聞いたことがある。
答えは決まって「NO」
理由を尋ねると「置く場所がない」
これのどこに場所がない?スカスカですよ?
と食い下がったこともある。
だが答えは変わらない。
「置く場所がない」
漁協に話しても同じ。
JFしまねの恵曇支所に行って、船を置かせて欲しい、と懇願したことがある。
漁師になりたい、と。
しかし、答えは「置く場所がない」
よそ者が来ることを極端に嫌う県民性。
漁師になりたい、と引っ越してきても船を持てないから、漁師にはなれない。
島根で漁師になるなら、底引き網か定置網で会社員として勤める以外にない。
もちろん、県外から来て漁師になった人もいる。
何人か県外出身漁師の知り合いもできた。
みんな口を揃えるのは
「島根で漁師にならない方がいい」だ。
行政には頼るな
漁師の制度は杜撰。
JFに出荷しても二束三文。
一本釣り漁師としては生活できない。家族を連れて島根に移住して漁師なんてなるのは自殺行為だ。
売っても二束三文
先にも記述したが、島根で一本釣り漁だけでは生活できない。
定置網か底引き網でごっそりと魚を獲る必要がある。
例えば下のレンコダイ
1匹200円程度。
200円あればいいほうかも。
この立派なチカメキントキ
時期にもよるが1匹1000円ちょい。
このマルゴ(ブリの幼魚)
1匹500円。
もちろん売れた金額がそのまま手元に入ってくる訳ではない。
手数料や発泡スチロール代、氷代、運搬代が引かれる。
移住前にまずは住んでみて
私自身が島根に移住して漁師になりました。
そこで感じたことを思いっきり書かせていただきました。
ですが、島根の全てを否定している訳ではありません。
移住だって、例えば隠岐の島の海士町は人口が増えてる町です。
町全体で移住者を受け入れ、住みよい町を目指そうとしている素敵なところもあります。
閉鎖的な県民性と書きましたが、仲良くなれば義理人情を大切にする人たちです。
要はどこの地域にも一長一短あるってことです。
ただ、島根で漁師だけはならない方がいい。
趣味で釣りをするくらいが1番いいってことです。