島根県で漁師になりたい人へ

2021年12月27日

島根県で漁師になりたい人へ

 

魚釣りに関することで事業を行っていきたい。

そう思い、福岡へ帰らず島根県に残ることにした。

船を持って、お客さんと釣りに出る、釣った魚を販売したり飲食店で提供したい。

そのための最短ルートは「漁師になること」

これが僕が選択した答え。

 

漁師不足のハズが…

島根県で漁師になりたい人へ

漁師も高齢化が進み、漁師が不足している…。

そんな声を生で聞いていたのだが…。

 

漁師になるべく、島根県東部と呼ばれる出雲市と松江市の漁港を回り尽くした。

そこでわかったこと。

 

漁師になりたい!だけじゃなれない。

 

漁港近くの家を借りようとして内見に行ったときのこと。

すぐ目の前が漁港で、数人の漁師と思しき老人がいたので挨拶をし、ここで漁師になりたいことを伝えたのだが…

 

船を置くところがないよ

 

だと。

スッカスカの港なのに。

ボロボロでエンジンも付いていない船が今にも沈みそうに放置されているのに…。

後で聞いた話だが、

・よそ者を受け入れない

・ライバルを増やしたくない

からよそ者が地元で漁師になることを嫌がる人が多いのだとか。

自分で行動していてはいつまでも漁師になれない…。

漁師で必要不可欠な船を置くことすらできないのだから。

 

島根県とJF(漁協)の制度

島根県で漁師になりたい人へ

 

漁師不足は県としても把握し、懸念をしているようで、島根県とJFしまねのそれぞれで漁師になる人のための制度がある。

島根県の制度

 

JAしまねの制度

 

JFしまねに関してはUIターン者を主に支援している。

定置網や底引き網など人手がいる漁業への就業で漁師になろう、という制度。

 

島根県の制度は2つの方法で漁師になるための支援がある。

この制度に関しては、僕が実際に県庁で面談を受け説明を受けてきた。

 

1つ目はJFしまねと同様で、定置網や底引き網を行っている会社へ就業しながら漁師を目指すというもの。

沿岸漁業就業型技術習得研修事業【就業型】として研修制度がある。

定置網などの仕事は早朝から行い、お昼過ぎには終わるそうなので、午後に独りで漁師修行を積んでいくらしい。

定置網ならそのスケジュールだが、底引き網だと朝から晩までなんてザラにある。

会社勤めなので、収入面で安定と安心がある。

UIターンで職もなく、漁師を目指すのであればこの制度を利用して、給料をいただきながら漁師を目指す方が絶対にいいと思う。

しかし、1人で漁師として自立することは非常にハードルが高い。

僕が目指す形には遠いと思ったので、この「就業型」は除外した。

 

2つ目は、親分に付いて修行をする、という制度。

新規自営漁業者育成事業【独立型】という研修制度だが、主に親子などを対象としていて、島根県で親分として紹介できる漁師は今のところいないらしい。

僕が目指すものはこの独立型なのだが、島根県に相談しても親分を紹介されない…。

さらには、この研修期間中に給与が出ることはほぼない。親分が給与を出せるほど稼いでいる漁師なら出るかも知れないが、実際に現場を見ると安定してそんなに稼いでいる漁師は皆無だと思う。

自分自身で他に収入源がないとこの独立型では生活ができない。

 

JFしまねと島根県の制度を見ていても、結局は定置網や底引き網など人手がいる漁法の人手不足解消が狙いなのだ。

テレビなんかで紹介される大間のマグロ漁師、のように1人で魚を獲って生活する、と言った漁師を制度で目指すことは事実上できない。

 

自ら親分を見つけた

島根県で漁師になりたい人へ

 

島根県の制度で「独立型」を利用するためには、自分で親分を探すしかない。

出雲市、松江市と回り尽くしたので、次は大田市。

とにかく漁師さんに話しまくるしかないのだ。

そこで、出会ったのが、今、実際に研修をしていただいている「シーラック」である。

JFの漁労員であり、元底引き網漁師。

シーラックの土江船長は底引き網漁師のときには、何人ものIターン者を受け入れてきた実績と経験もあった。

僕が今まであった漁師さんや島根県人の悪い印象を払拭させてくれた、人間味あふれる親分と出会えたのだ。

 

ずさんな県の制度

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親分が見つかり、島根県の担当者へ連絡を取る。

制度利用に関して再度面談。

JFとの連携が必須との説明も受け、県の担当者とJFの担当者、僕、親分の土江船長と集まり面談の機会もできた。

そこで衝撃の事実。

 

予算がないので、来年の4月から制度利用となります。

 

え??

って、予算もないのに、県のホームページや各所で漁師を募集してたの?

これには、さすがの土江船長も呆れてた…。

僕以外にも、こうして島根で漁師になりたい人が来ても、翌年度の4月までできない、という事実が発覚。

例えば、2021年5月に制度へ申し込みしても、開始は2022年4月から。

島根県で漁師になりたい人へ

上図は島根県が作成したパンフレット。

面談など随時行っているのに、実際の開始は翌年度の4月。

そんなのパンフレットにもホームページにも記載がない。

これだと、せっかく申し込みしても諦める人出るでしょ…。

他県に行くよ、別の仕事探すよ…。

 

島根県ってどうなってるんだろう…。

予算もないのに、こうして漁師を募集する…。

どーせ来ないだろ、って思ってるから、申し込みがあってから予算化して翌年度からね~って感じ。

これが島根県の制度です。

 

実際に漁師さんと現場に入ってみて思うこと

島根県で漁師になりたい人へ

 

僕の場合は、親分に恵まれたので、制度の利用に関係なく研修をしていただいている。

2022年4月になれば制度利用ができるらしいが…。

土江船長が制度関係なく、研修を引き受けてくれたからであって、県から本来なら出る謝金もなにもない中、こうして僕を海に連れ出してくれている。

 

漁師として、海のこと、魚のこと、などなど毎回非常に勉強になる話を聞ける。

僕自身で釣った魚も出荷させていただいた。

 

超安価で買い取られた

 

現場で毎回痛感するのは、

漁師さんが必死に獲ってきた魚が安く買われる

ことが漁師不足の原因だと感じる。

油代も高騰しているのに、魚の値段は下がっていくばかり。

1匹1匹活き締めや神経絞めをした魚と、何もしない魚。値段は同じ。

同じ値段なら、わざわざ神経絞めなんか労力を費やそうなんて思わない。

 

さらにはJFしまねは不祥事だらけで、漁師さんのために市場開拓やブランド化など何もしない。

 

このままでは島根の漁業は衰退しか見えない。

シーラックの土江船長と竹下船長と僕で、島根の漁業を少しずつでも変えていく。

自分たちで動き、自分たちで切り開いていくしかないのだ。

 

こんな島根県の漁業の実態。

島根県で漁師になりたい、って人が減ってしまう内容である。

しかし、僕が研修をしているシーラックを中心に、一緒に盛り上げていける人が出てきて欲しいと切望している。

ぜひ連絡をしてきて欲しい。

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